インボイスは課税事業者に対する増税

投稿者: | 2023年11月15日

10月より導入されたインボイス制度だが、一般的に「免税事業者に対する課税である」という認識があります。

「いままで消費税を預かるだけ預かって、ネコババしている売上1000万円以下の免税事業者がついに課税される時が来た!ざまーみろ」

といった認識であります。実は、この認識はいくつもの誤りがあります。

まず売上高1000万円以下の事業者は相変わらず「免税事業者」であるということ。

消費税法 第九条 事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者(適格請求書発行事業者を除く。)については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、消費税を納める義務を免除する。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

と、このとおりこの条文は生きています。つまり、売上1000万円以下の小規模事業者は今も免税なのです。免税というのは税を免除されるということでありまして、払う義務がないことを意味します。

では、インボイス制度の意味は何なのでしょうか。

インボイス制度は、「適格請求書が発行されていない仕入れには消費税額控除を認めない」という制度です。つまり、現課税事業者に対して「がんばって『適格請求書』を集めてこないと、消費税が増えちゃいますよ~」と脅しをかける制度です。つまり課税事業者に対する増税なのです。制度としてはこれだけなので、免税事業者は本来増税の対象にはなりません。が!

しかし実際の社会では、免税事業者にとってはそんなに甘くはない現実が待っています。

 免税事業者のままでいるには「適格請求書」を発行しないこと(インボイス登録しない)が条件となります。課税業者である元請や発注者は、自らの消費税を減額するために「適格請求書」の発行を下請け業者などに要求することとなります。そうなると、仕事を回されなくなる恐れを抱く免税事業者が仕方なくインボイス登録をして「課税事業者」とならざるを得ない状況が生み出されるのです。

こうして制度を見返してみると、財務省が自らの手を汚さず、民間の事業者同士の消費税に擦り付け合いによる対立と分断を国民の間に生み出すという、まともな政府が行っているとは思えない卑怯卑劣極まりない制度であると言えるのです。

それに加えて、番号の確認や記載など事業者の事務負担も大きく増大し、事業者にとって良いことは一つもないという制度なのです。

あと、インボイスについて(消費税そのものも)のもう一つの認識の誤りは、「免税事業者」が消費税を預かったままネコババしている(益税論)という論ですが、これも全くの大間違い。これに関しては、次回述べます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です